現役一橋生が世界史の過去問解いて解説するブログ

現役一橋生が一橋世界史の過去問を解きなおして解説を挙げる予定のブログ

【勉強法】現役一橋生はいかにして世界史を攻略したか?【参考書紹介】

 じゃあ実際ブログ主は一体どうやって勉強して一橋に受かったのかについてと、また受験生に繰り返してほしくない反省点を書いていきます。書いてるうちに長くなってしまったので、時間ない人は最後のまとめ部分だけどうぞ。

 

 高2の終わり~高3の初め。いい加減世界史の勉強を始めないとヤバいと、やっとこさ動き始めた時期です。

 まず世界史の概観を掴みたいと思い、通史本として

 

「荒巻の世界史の見取り図」をやりました。「荒巻の見取り図」は出来事の因果関係をしっかり解説してくれていたので、とても理解しやすく、かつ論述にも活かせます。この本に書かれていた作者の見解・視点というのを足掛かりにして論述に取り組むこともしばしばありました。論述必須の大学を受ける場合には大きな助けになると思います。また、地名が出てくる度、簡潔な地図を示してくれるため、地理関係もわかりやすい。単なる「暗記」ではなく世界史の「理解」に重点を置いた、世界史初学者でもとっつきやすい名著です。

 

荒巻の新世界史の見取り図 上 (東進ブックス 大学受験 名人の授業シリーズ)

荒巻の新世界史の見取り図 上 (東進ブックス 大学受験 名人の授業シリーズ)

 

 当時私はこれをただひたすらに読んでいました。ただし一周目だし、あまり根を詰めず、無理に理解しようとはせず、難しいところの理解は飛ばしつつ進めよ~と割とゆるめにやりました。しかし「やっと読み切った~!」ともう一周しようとしたとき愕然としました。予想していたよりも遥かに多くの部分を忘れていたからです。通史本はただ読むだけだと、すぐに以前やった知識が抜ける。そんな当たり前のことすら気づかない程、長らくまともに勉強していなかったのです。

 

 そこで、二周目からは、用語問題集の暗記と並行して進めることにしました。

 使った問題集は「時代と流れで覚える!世界史B」です。これは本当に最高。

 

時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)

時代と流れで覚える! 世界史B用語 (シグマベスト)

 

 まず、一問一答型とは違って、因果関係などの記述の中に単語を穴埋めする形式なので、出来事の順番や歴史の流れそのものもしっかり覚えられるというのが特徴です。ひたすら単語が羅列されていても覚えられませんしね。流れで覚えることは暗記自体の助けにもなると思います。また、見開き1ページでテーマがまとまっているところも素晴らしい。左ページの地図や表なども簡潔にまとまっていて見やすいく、非常に使いやすいです。他の暗記帳と比べても薄くて取り組みやすいのも売りの1つでしょう。私はぶっちゃけ世界史用語集はほぼこれしかやりませんでした。

ただし、その惚れ惚れするほどのまとまり具合の弊害なのか、若干抜けがあったりもします。その抜けを補うために、もう一冊別の用語集を使う…という手もありえますが、個人的には、抜けてる単語や補足事項などは、直接この「時代と流れで覚える!世界史B」に書き込むのもアリだと思います。実際私はそのようにして勉強を進めました。学校や塾での授業、模試、様々な参考書、過去問などで出てきた知らない用語や補足説明を全て用語問題集に書き込む。そして自分だけのオリジナル用語集を作るのです。

 このやり方をオススメするのは理由が二つあって、一つには暗記帳は出来るだけ1つに絞るべきと考えているからです。1つの参考書を何十周もして初めてしっかりと記憶が根付きます。特に世界史はインプット勝負な面が大きいので、数をこなすことは非常に重要です。一方で、複数の本や媒体から情報を仕入れることで、世界史をより多角的に見るということも必要です。別の参考書に取り組みながら「あぁ…この話はあの参考書でも取り上げられていたな…」と感じることで、より深くその知識を暗記できるという側面もあります。しかし、最終的には、色々なところで得た知識を一つの用語集にまとめることで、入試までその用語集だけ延々回せばそれで済むという状況になります。このように一冊自分の世界史リファレンスブックを作り上げて、知識を一本化することで、自分の中の「世界史回路」がより強靭なものになるのではないかな、と思います。

 

 「見取り図」を一章読み進めるたびに、「流れで覚える!」の該当箇所を暗記する…という風に進めていきました。こうして、ようやくまともに世界史の勉強が進み始めたのです。

 

 さて論述対策に入るまで、世界史の勉強は、私はほぼ「見取り図」と「時代と流れ」の周回のみに費やしていたのですが、論述対策に入るまでにこうしておけばよかった…という反省が一部あったので、それを記します。もっと早い段階でやっていたら論述が楽だったのに…というポイントです。

 一つは「最初からキチンと年代まで覚えておけばよかった」ということです。年代暗記とか馬鹿くせ、一番大事なのは歴史の流れと理解やろがい!と思って、全く年代暗記には手を付けてなかったのですが、論述問題では「ザイトゥーンの都市名を漢字で答えた上で、当該都市を取り巻く11〜13世紀の国際関係を論じなさい。(2018 一橋)」「14世紀半ば以降にイギリスが直面していた政治的事件と社会的事象が考えられる。この2つが何であるかを明示し~論じなさい。(2014 一橋)」といったように、この事件は大体何世紀に起こった出来事なのか?というのをしっかり理解していないと、そもそも何について書けばいいのかすらわからない、という事態に陥ってしまいます。 また、意外かもしれませんが、一橋世界史では、稀に年号をずばりそのまま問う問題があります。本当に基礎的な年号問題ではあるのですが、基礎的だからこそ絶対取りこぼしたくない。論述力や理解力ではなく、単に知ってるか否か、という問題を落とすのはあまりにももったいないです。是非出来事を覚えるときに一緒に年号まで覚えてしまうことをオススメします。ちなみに自分は、入試直前の土壇場になって「世界史年代ワンフレーズnew」で年号を覚え始めました。

 

世界史年代ワンフレーズnew

世界史年代ワンフレーズnew

 

語呂合わせで覚える形式で、「年号→出来事」ではなく「出来事→出来事」の順番になるように語呂合わせが作られてる、というのが売りだったのですが、結構無理やりな語呂合わせが多いです。語呂合わせの文章が意味不明すぎて爆笑(誤用)することもしばしばでした。結局全て完璧に覚えるのは間に合いませんでしたが、覚えるべき年号は何なのか?ということや、大体の年代といったものは暗記出来たので無駄ではなかったと思います。しかし読者の皆さんには、どの参考書でもいいので、是非もっと早い段階から余裕をもって年号暗記をしてほしいと思います。

 もう一つの反省点は、通史の確認をどこかの段階で参考書から教科書に移行させるべきだった、ということです。稀に参考書の間でも記述で食い違いがあったりします(本来あってはならないことですが…)。そういう場合どちらの参考書を信じるか。そんなときは教科書に戻って確認をして判断すべきです。入試問題は参考書ではなく教科書をもとにして作られています。一番信頼できるソースは何よりもまず教科書なのです。塾や参考書に書かれている論述の解答も、「これ本当か?」と感じたら教科書を見てみて、本当にそのような記述がされているか確認することを推奨します。教科書には、さりげな~く重要な出来事間の因果関係が書いてあったり、また参考書ではあまり触れられないが一橋の頻出分野である単元(中世ヨーロッパの社会のあり方など)がしっかり記述されていたり(まぁ教科書なので当たり前なのですが)します。そういう意味で、教科書をほとんど確認せず勉強してきたのは失敗だったな…と後に考えるようになりました。確かに初めから教科書で勉強しようというのはハードルが高いかもしれませんが、ある程度単語も覚えて慣れてきたら教科書に移行することをオススメします。

 

 世界史については、しかしほとんど「見取り図」と「時代と流れ」で勉強し、模試などで得た知識などもちょくちょく書き込んで知識を増やしていました。高3から始めた塾で通史の授業を受けつつも、実際にはほとんど上二冊によるところが大きかったと思います。塾の授業はほとんど以前勉強したことの確認だったように思います。

 その後、塾の世界史論述対策授業、Z会出版の「段階式 世界史論述のトレーニング」、中谷臣氏の「世界史論述練習帳new」を通して、頻出テーマをしっかり論述できるように整理した上で暗記しました。

 

段階式 世界史論述のトレーニング

段階式 世界史論述のトレーニング

 
世界史論述練習帳new

世界史論述練習帳new

 

 

単に単語を覚えてるだけでなくキッチリ記述に落とし込めることが重要です。特に「世界史論述練習帳new」は、「問われていることにしっかり答える」とはどういうことなのか?について解説されており、論述で意識すべきことが理解できるので、問題を解かなくてもいいので是非一読すべきです。またこの本は別冊で論述頻出テーマを60字でまとめたものがついてきます。よくまとまっており、受験直前期は「時代と流れ」と並行してこれの暗記をしていました。またこういった論述対策本で得た知識も「時代と流れ」に書き込んでいました。

 

 さて、そしていよいよ一橋世界史過去問対策です。確かセンター試験前後あたりだったかな、そこらへんで始めたように記憶しています。あ、ちなみにセンター試験世界史の点数は97だか98点でした。一問だけ落としましたが、あとはパーフェクトでした。結局「時代と流れ」を毎日のように回していたのが大きかったです。なんでもいいので何か知識が一本化されている暗記帳を用意することをオススメします。

 話を戻します。一橋世界史の過去問対策を始めたのですが、ま~手も足も出ない。私はここで絶望しましたね。もっと早く始めていれば…と。

一橋世界史は受験生の何を見ているのか?というと、どれだけ一橋の志望度が高いかです。すなわち、どれだけ過去問にしっかり取り組んだの?という点です。一橋世界史は奥が深いのですが、その代わり出る範囲・頻出分野というのは結構固定化されています。中世ヨーロッパ・近現代東アジアが頻出だなんてのはよく言われるところですが、このように出題内容が特徴的なので、過去問を完璧に理解していれば実は割と得点出来たりするのです。逆に言えば過去問研究をしていないと奥深い一橋世界史には到底太刀打ちできません。読者諸君は是非早めの対策をしてほしいです。私はこの後、世界史対策に全振りしましたが、結果数学対策はおろそかになってしまいました。まぁ入試本番では運よくそれなりに数学で健闘できたのですが、数学の過去問二年分しかやらず、それもほとんど解けずじまいで入試に特攻したのは本当に愚かだったと我ながら思います。一橋対策では、経済・商学部は地歴を、法・社会学部は数学を捨てるというのはそれなりにセオリ―(まぁそれでもセンターでは普通に取れるレベルには仕上げてる必要がありますが)になってしまっていますが、やはりバランスよく全科目とれることが理想です。「捨て科目」を作るのは時間がない人の緊急措置的な戦い方なのだと認識しましょう。また世界史を一橋対策に全振りしたために、一橋であまり取り上げられないテーマなどがおろそかになってしまい、滑り止めの早慶受験でかなり苦戦することとなりました。「あ~これ『時代と流れ』に書いてあったはずなんだけど…何だっけ…」となり非常に悔しい思いをしました。そもそも一橋と早慶は傾向が全然違うので対策がしにくいわけですが、それだけでなく、一橋が突然傾向を変えてくる場合だって全然あり得るわけですから(というか実際に2017なんかはかなり変えてきていましたね)、そういうところに目配り出来ていなかったのも反省ポイントです。そうならないためにも早めに一橋対策をとるべきです。

 

 さて、世界史対策に関しては、塾の一橋対策授業と、「世界史論述練習帳new」を著した中谷臣氏の「世界史教室」というサイト(このサイトは本当に数多の一橋受験生の救世主だったんじゃないでしょうか?もちろん書かれてる内容全てに納得いったかというとそういうわけでもないですが、このサイトから得られたことは本当に大きかった。是非一度アクセスすることを進めます)を参考にしながら取り組みました。

 塾の授業でも得るものはすごく多く、とても有意義だったのですが、「問われていることに答える」が出来ていなかったり、イマイチ消化不良なところもありました。そこで「世界史教室」の解説や、教科書、挙句の果てには「詳説 世界史研究」なんていうめちゃめちゃ細かくて分厚い参考書を参照したり(実際参考になったところはあまりなかったような気がしますが)しながら、自分なりに納得のいく解答が出来るまで調べ上げました。この作業が本当にしんどくて時間も死ぬほど食うし、焦燥感ばかり募ってくる感じでした。この、受験生にとってとてもしんどい過去問研究の助けになれば、という思いが、このブログを始めたきっかけだったりします。

 

詳説世界史研究

詳説世界史研究

 

 

 さて、このように私は一橋過去問を、時間をかけて取り組んでいたこともあり、大体20年分くらいかな?までやったのですが、読者には是非、1900年代の問題も集中的に取り組んでほしいなと思います。例えば2018年の大問1なんかは1982年の過去問の焼き直しらしいですね。このように昔の問題までやっていれば、そのまま入試に出てくることもあるのです。そういう意味で、やはりどれほど熱意をもって一橋を志望しているかが問われているようですね。まぁ単に教員が怠慢なだけだと思いますが…。

 そうして、私は過去問研究をしていたのですが、このとき是非皆さんには「まとめノート」を作ってほしいと思います。例えば「オットーの戴冠」だったり「教皇権の伸長」「辛亥革命」「フランス革命」など、頻出、あるいは出そうなテーマの具体的な内容や意義などを「まとめノート」に自分なりに整理して書き込み、それをそのまま暗記するのです。そして出来事の流れや意義なんかが実際に問われたときに、まとめノートの内容をそのままアウトプットできるようにしましょう。覚えてるつもりでも、しっかり文章としてアウトプットするのは意外と難しいです。予めアウトプットするときの形のまま覚えておくのが一番楽です。私はこうしてまとめていた内容が実際にドンピシャで出題され、完答することが出来ました。運の要素ももちろんないとは言いませんが、しっかり傾向を見て対策をとり、整理していればいいことがあるのです。

 

 つらつらと過去を振り返って自分語りをしていたら、思いのほか超長文になってしまいました。6000字だって。ウケる。ドン引き。最後に今までの内容を簡潔に整理して終わりにしたいと思います。

 

①通史本「荒巻の世界史の見取り図」で流れ・因果関係を掴み、平行して「時代と流れで覚える!世界史B」で重要単語を年号まで含めて暗記。これを何周もする。

②模試や授業などで得た知識も「時代と流れ」に書き込み、自分だけのオリジナル世界史リファレンスブックを作る。教科書を読み込む。

↓                                                              

③「世界史論述練習帳new」「段階式 世界史論述ノート」などの論述対策本を通して論述に慣れたり、さらに知識を増やす。

④一橋世界史過去問対策。頻出テーマなどは自分なりの「まとめノート」を作って本番でちゃんとアウトプットできるように暗記。